役行者6
役行者は役優婆塞(うばそく)と言うくらいだから、
出家はせず、しかし仏門に帰依しているという
半分僧侶、半分俗人のような立場にあったようだ。
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役行者を描いた小説の殆どは、民百姓の苦役を憂い
体制に反発し、憎まれ、追われても奴婢(律令制に
おける賤民のことを"ぬひ"と言う)の苦しみを思い、
常に弱者の側に立って戦った男として描かれている。
「慈悲の心」と「悪を憎む鬼の心」を同時に持つ男
だったと考えられているようだ。
正義の味方であるが、アウトローでもある。
男ならこのような生き方をしてみたいと、誰でも
一度は思うだろう。体にも心にも贅肉をつけない
生き方。
当麻の役行者像は、窪んだ眼窩に鋭い眼光が印象的
であるが、人の心の弱さをも見通す眼力があったの
かも知れない。
そうでなければ、これほど民に慕われはしない。
いかに天候不順で不作の年であろうとも、豊年並みに
税を徴収され、餓死したとしても、天皇も、官僚も意に
介さない、人を人とも思わぬ時代である。
農民以下は牛馬並みに死ぬまで扱き使っても構わないと
...思うだけマシである。最早そんなこと意識になかった
だろう。そんな社会に未来があるはずはないのに、対外
的に体裁を整える為、表面的な形だけが整って行く。
そして、不比等はそんな官僚の一人である...というよりも、
民百姓を苦しめる体制を推し進めた人物なのである。
役行者の最大の敵は、正に藤原不比等だったかも知れない。
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