不比等は悪なのか?
容赦ない税の徴収で飢える民が居ても、人として
顧みられることが無かった時代。
民の立場から不比等を見ると、黒岩氏もその小説の
中で書いているように、民の苦しみを思いやらない
冷徹な貴族であり、もし許させるなら山ほど文句を
言いたかったはずだ。しかし、大人しい日本の民は
彼を畏れており、蜂起するパワーがない。忍従に
甘んじる不思議な民族である。
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その能力、功績から昇進の機会は多々あったはず
であるのに、殆どの人間がそうであるように、
危機として上級官吏のポストを与えられるままに
就任したりはしなかった。
判事として、律令制度の確立にこだわり、階級の
上下に関わらず彼なくして成り立たぬようなシス
テムを作り上げ、蜘蛛の巣の様に、糸をを張り巡
らして行ったのである。
同じ貴族社会の人間から見たら、洗練された物腰
と物静かな居ずまいは表向きの顔であり、一皮剥
けば冷徹な政治家の顔があることを皆知っていた
に違いない。彼を敵に回すことは何としても避け
ただろう。
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