関東に点在する伝説
不比等に関しては群馬の多胡碑にその名が見える
ことは前述の通りである。
鎌足については千葉は木更津に鎌足桜なるものがある。
鎌足が常陸の出身であるという説はあるが、千葉・
埼玉・栃木・群馬にその名を見つける事が出来るのだ。
奈良では鎌足に親戚はいない。
鎌足は中臣家の養子なので、中臣氏とは血縁ではない
というのだ。
その根拠となるのが大鏡である。
大鏡には鎌足の出身が常陸であると書かれているが、
同時にこの大鏡には不比等が天智天皇の子であると
も書かれているのだ。
しかし、大鏡という読み物はそもそも平安末期のもので
あり、作者も不明という、得体の知れない書物なのだ。
怨霊も出てくるような読み物を史書としても良いものだ
ろうか?
全てを否定は出来ないまでも、鵜呑みにするのもどうか
と思う。
とは言え、各地に伝わる伝説や伝承は何かしら根拠が
あると考えられる。語り部によって伝えられた隠れた
歴史が、中央政権の政治力が及ばない遠隔の地に残って
いる可能性は高い。
しかし、中部でも中国地方でもなく、関東というのが
面白い。鎌足・不比等伝説を関東で探す旅をしてみる
というのも良いだろう。
あるいは、そこに表の歴史には語られていない事実が
隠されているかも知れないのだ。
秘密を知る者は、それを人に伝えたいという欲求を
持っているものだ。
歴史は科学ではなく、人の意志や思いがあってこその
結果なのだから。
(C) 2009 藤原不比等の歴史|藤原不比等の人物像